買った後に後悔しない。遠近両用フレームの選び方。
「最近、近くが見づらくなってきたな~。いよいよ遠近両用メガネかな...」
「でも、待てよ...」
「とは言っても、どんなフレームでも作れるのかな?」
「そういえば、大きいフレームの方がいいよ、って誰かから聞いたことがあるな。。」
といったようなことが頭に浮かんでくる人も多いかと思います。
では、実際のところどうかというと
どんなフレームでも作れるわけではありません。
極端にフレームの上下幅の狭いフレームは遠近両用レンズは入りません。
(極端でなければ、幅の狭いフレームでも入ります)
これは、遠近両用レンズの構造を理解すると分かりやすいので、説明しますね。
遠近両用レンズの構造は?
遠近両用レンズの度数の分布は、下図のとおり、
上部から下部にかけて、度数が変化していきます。
つまり、ある程度の上下の幅がないと
近方の度数まで入らないということです。
ただ、最近はフレームのデザインも多様化して
「上下幅の狭いフレームで作りたい!」
というニーズも確かにあります。
そこで、メーカーでも上下幅の狭いフレームでも
入るようなレイアウトの遠近両用レンズを用意しています。
なので、極端に上下幅の狭いフレームでなければ
遠近両用メガネは作れます。
じゃぁ、遠近両用レンズが入ればどんなフレームでもいいのか、
というとそうでもなく、
ここからが本題の【選び方】という話しになります。
(お待たせしました。汗)
レンズレイアウトは大きく分けると2タイプ
遠近両用レンズは、レンズ上部の遠くを見る部分から、
下部の近くを見る部分まで徐々に度数が変化していますが、
この度数の変化している部分を累進帯(るいしんたい)といい、
この累進帯の長さを累進帯長(るいしんたいちょう)と呼びます。
この累進帯長は長いものから短いものまでありますが
この長さの違いによって
同じ度数でも【見え方】や【使い勝手】は変わります。
累進帯長の長いタイプ | 累進帯長の短いタイプ | |
---|---|---|
レンズレイアウト | ||
ユレ・歪み | 小さい | 大きい |
視野 | 広い | 狭い |
目の上下の回旋量 | 多い 目を上下に動かす筋肉を多く必要とします。 | 少ない 近方視がしやすくなります。 |
加入度数による見え方の違い
もうひとつ、遠近両用の見え方に影響を及ぼす要素が
加入度(かにゅうど)です。
これは遠方を見る度数と近方を見る度数の差のことを言います。
この加入度は、年齢を重ねていくと老視(調節力の衰え)が進む
ことによって、大きくなっていきます。
当然それに合わせて眼鏡をつくっていきますが
加入度が強くなるほど歪みが大きくなり、
視野が狭くなっていきます。
弱い加入度 | 中位の加入度 | 強い加入度 | |
---|---|---|---|
レイアウト | |||
年齢の目安 | 40歳~45歳 | 45歳~55歳 | 55歳~60歳 |
ユレ・歪み | 小 ユレ・歪みをあまり感じません。初めての場合、慣れやすい。 | 中 少しユレ・歪みを感じます。初めての場合、慣れるまで少し時間がかかる。 | 大 ユレ・歪みを最も感じます。初めての場合、慣れるまで 相当練習が必要。 |
視野 | 広い 遠方部・中間部・近方部の視野が広い。 | 中 遠方部・中間部・近方部の視野がやや狭くなる。 | 狭い 遠方部・中間部・近方部の視野 が狭い。 |
加入度によって、このように見え方が変わってきますので
初めて遠近両用を作る場合、
早めの方(年齢が若いうちから)が良い
というのはこのような事情もあるからです。
もう一つは、若いほど順応力が高いため
慣れやすいということもあります。
また、遠近両用の場合、下目づかいで近くを見るため
【眼の回旋力】が必要になりますが、
これも若いうちの方が楽にできます。
もし、年齢が高い方で、初めて遠近両用を作る場合は
加入度数を弱めにして
徐々に慣らしていくのが良いでしょう。
まとめ
もうお分かりかと思いますが、遠近両用メガネを作る場合、
デザインに強いこだわりがなければ
上下幅の広いメガネを選んだ方が、
歪みも少なく、視野も少し広くなって、見やすくなる
ということです。
特に加入度の強い年齢の高い人ほど
上下幅の広いフレームの方が
より良い選択ということになります。