知らないと失敗する。
メガネを買う前に知っておくべき1つの事。
お客様と話していると、「メガネはどこで作っても同じになる」
と思っている方が結構いらっしゃるなぁ、と感じます。
その際には説明するのですが、「違います」
(お客様から見るとメガネ屋さんの店員はみんなプロに見える
のでそう思う気持ちは理解できますが。。)
その理由は、
メガネ本来の目的とメガネが出来上がるまでのプロセス
を見ていくと分かります。
メガネ本来の目的、その第一義は、「快適に見える」ことです。
それに付随して、ファッション性があると思います。
「快適に見える」とは、ただ良く見えるというだけではなく
両目で見て、違和感や疲れがない、
また掛けていても痛みやズレがない
ということです。
非常に良く見えても、気持ち悪くなったり、疲れたりしたら嫌ですよね。
では、その「快適なメガネ」は店頭に並んでいるのかというと並んでいません。
一からその人に合わせて作るフルオーダーメイドの商品です。
そして、その出来上がるまでのプロセスは次のようになります。
※①は②~⑤の結果によって変更しなければならない、または変更した方が良い場合もあります。
①~⑤を経て、完成品となりますが、途中の工程が悪ければ
完成品としての価値は下がります。
①と④はメーカー完成品(ハード部分)なので、同じ商品だったら
どこのメガネ屋さんで買っても商品の品質は一緒です。
しかし、
②③⑤は技術レベル(ソフト部分)によって大きな差があり
使用品質に影響を与えます。
商品品質 < 使用品質
多くの商品は、その商品の価値は、商品の品質で決まります。
例えば、テレビなら、テレビの機能・スペックがあり
それ以下、もしくはそれ以上のことは起こりません。
誰が使っても使用した品質は一定です。
Aさんが使うと画質が良くなるということはありません。
商品価値=商品品質です。
ところが、メガネの商品の価値は使用品質で決まります。
使用品質とは、「使用してみて分かる品質」です。
では、メガネの使用品質の低い例をいくつか見てみましょう。
まず、度が合っていなかった場合には
疲れや頭痛、肩こりなどが起こったりします。
近視の度が強過ぎる状態のメガネでは
近視が進みやすくなったりします。
弱視の場合はしっかり合わせないと治療効果がありません。
メガネの使用目的に合わないレンズの種類を使うと
疲れる等の症状がでます。
フィッティング(掛け具合調整)不良の場合は
ズレやすかったり痛みが出たりします。
他にもフィッティングは見え方にも影響します。
たとえ度が適切であっても、目とレンズの距離や
フレームのそり角・あおり角が適切に調整されないと
違和感を訴えたり、気持ち悪くなったり
床が浮いて見える等症状が出てしまいます。
このように簡単にざっとみても、メガネというものは
フレーム、レンズというそれぞれのハード的な商品品質よりも
それ以外(視力検査、メガネ処方、レンズ選定、フィッティング等)
のソフト部分で決まる使用品質が重要になる
ということが分かると思います。
そしてこのソフト部分が技術なのです。
この技術レベルというのは
お店、人によって驚くほど大きな差があります。
技術レベルを見分けるには?
では、この技術レベルを見分けるには? というと
素人には容易ではありませんが、
ひとつには「認定眼鏡士」という
(社)日本眼鏡技術者協会の資格者がいるかどうか
というのは簡単な目安にはなるかと思います。
この資格を持っているということは
基礎的な知識を勉強しているから
ある一定以上のレベルにあると言えます。
ただし、この資格はメガネ販売において必須ではないので
持っていなくても勉強して立派な技術者もいます。
逆に、有資格者でも
検査技術、フィッティング技術があまり上手でない人も中にはいます。
テストに合格して終わりという人もいるでしょう。
高い技術レベルになるには
その知識を深く理解して、
知恵として実践・経験を数多く積むことが不可欠です。
総合的にみて「認定眼鏡士」であれば
技術レベルが高い確率は高いでしょう。
問題なのは...
みなさんも見たことがあると思いますが
オートレフ検査という
他覚的な検査機器で測定した結果を元に
メガネの度数を決めているところです。
この機器は、中を覗くと中心に固視標があり
それを見ているだけで自動的に
近視や遠視や乱視の度合いを測定してくれます。
これは、予備的な検査として有効ですが、ズレが必ずあります。
→最新の検査機器だから正確。は本当?
この後に自覚的検査を行うのですが、
この自覚的検査をパパッと済ませて(もしくはしないで)
・実際にはオートレフで出た度数データ(数値)を
テスト枠に入れて、視力を測って、
良好な視力が得られれば、それで終了。
そのデータでメガネ作製。
・または、度数データをちょっといじって
「良く見える」とお客様が言った度数でメガネ作製。
・視力が思うように出ないと、前のメガネと同じ度数を勧める。
・今のメガネが見にくいと言うと
近視だけを上げて(違和感がでると困るので乱視をいじらない)
視力が上がれば、その度数で作製。
などとしているようです。
このようなところは、技術レベルは非常に低いお店です。
結果としてたまたまOKということもあると思いますが
この「たまたま」の確率にかけて
メガネを作るのはオススメできません。
なるべく前と同じ度数を勧めるようにと
指示が出ている会社もあるようです。
同じ度数であればクレームになりにくいからです。
特に安売りチェーン店の場合こういう傾向が見られます。
数をこなしてなんぼですので、検査に時間をかけられない
という事情もあるのでやむを得ないところなのでしょうか...
お客様から見ると、CMもやっていたりするものですから
安心するでしょうし、当然検査がしっかりできる人が検査してるのだろう
と思ってしまうのも理解できます。
CMの信頼は絶大ですね。笑
以前、上記の方法でメガネを作製した女性の方が
新しくメガネ作製のために来店されたのですが、
そのメガネの度数を測定すると
自分の目の近視以上の、強い近視の度数が入ってました。
「作った後どうだったか?」と聞くと
「最初半年くらいは頭が痛くて大変だったけど、そのうち何とか慣れてきました」
とのこと。(当然です)
この方は半年間も我慢したのか..
と思うと非常に可哀想になりました。
目への負担を1年間かけ続けてきたということです。
もしかしたら、その間、不必要に近視が進んだかもしれません。
それでもそのまま使い続ける理由として
検査して作ったから合っている
と思いこんでいるようなのです。
このような方(特に近視を必要以上に強く入れている)は、意外と多いです。
ほぼ全員、流行の大手スリープライスショップで作製していました。。
(メガネに携わるものとして非常に残念に思います)
このようなことを避けるためには
次のような質問をしてみると良いでしょう。
「オートレフを使用しないで、視力検査が出来ますか?」
「できない」というようであれば
他をあたったほうが良いかもしれません。
自分の目のことですので、信頼できるお店で作ることをオススメします。