熱に強いレンズ(耐熱コート)
こんな方にオススメ。
- 車中にメガネを置いておきたい方
- 火力を使う料理好きな方
- バーベキューや焚き火をよくする方
プラスチックレンズの弱点のひとつに、
意外と知られていない「熱」があります。
キズだと思って、メガネ屋さんに行くと、
「あ~、これは傷ではなくて熱ですね」と言われた
ことがある人はお分かりかと思います。
これは、メガネレンズには快適な視界を確保するために
様々なコーティングを施していますが
これが熱によってひび割れてしまうのです。
ひび割れのメカニズム
プラスチックレンズは、有機質と無機質の組み合わせで出来ています。
有機質のプラスチック基材は約60℃以上の熱が加わると
体積が急に膨張する性質があります。
しかし、無機質の反射防止コートは、きわめて薄い金属膜で
ほとんど膨張しない為、プラスチックの膨張に耐え切れず
クラック(ヒビ割れ)が発生します。
次のような、無数の細かい線が「クラック」です。
こうなると修復は不可能です。
これは、使用年数に関係なく、熱の影響を受けた時に入りますので、
購入した当日にもこうなってしまう可能性はありますので
注意が必要です。
また、クラックを歪み計でみると下記のように膨張の跡がみられます。
また、このクラックからレンズの表面のコーティングが剥がれてくる場合があります。
これは、キズからも同様ですが、クラックやキズから水分などが染み込み
コートを浮かせて剥がしていきます。
コーティングがかなり剥がれてきたレンズ
耐熱コートをして実験
耐熱コートは果たしてどのくらい耐えられるのか?
ちょっと興味本位で実験してみました。
100度~130度のヒーターに2分間入れたまま放置した結果。
通常のコートは上の写真のように、かなりクラックが入りました。
耐熱コートは全くクラックが入らず、
「かなり耐えられるな」という印象を受けました。
日常に潜む熱の危険
では、熱によるクラックが入ってしまう、
よくある事例を挙げてみましょう。
車のダッシュボードの上に置いたままにしておく。
炎天下の車内温度70℃~80℃
焼肉の鉄板や炭火の放射熱(約70℃)にあたる。(鉄板の横に置いておく)
クッキングヒーターの高温に近づいた。(トッププレート約120℃)
焚き火やバーベキューの火のそばに近づく
サウナにメガネをしたまま入る。サウナ中段で80℃
ドライヤーの熱風にあたる。10cm離れても70℃以上
夏の砂浜に放置。砂上温度60℃以上
ヒーターの熱風にあたる。吹き出し口付近の温度は80℃以上
急激な温度差にも注意してください。
熱以外にも急激な40℃以上の温度差によっても
クラックの危険性が高まります。
これらのような環境で使う場合や、心配な方は
この耐熱コートをしてみてください。